産経は「足元の感染症への認識が薄い」と批判
9月19日には産経新聞も風疹をテーマにした社説を展開し、日経社説と同様にワクチン接種の重要性を訴えている。
さらにワクチンについて産経社説は「ワクチンを2回接種すれば99%免疫ができるが、徹底されておらず、ほぼ5年おきに局地的な流行が起きている」と指摘する。
その通りなのだが、この問題の背景には皮肉な事情がある。
制圧を目指すことによって日本国内では風疹の患者自体が少なくなる。患者が少なくなればなるほど、私たち国民は風疹ウイルスと遭遇する機会が減る。減ると、これまで1回のワクチン接種で抗体を高めることができたのができなくなる。その結果、費用と手間が倍になる2回接種が必要となるのである。
日経社説も産経社説もその辺りの説明がないのが残念だ。読者になぜ、2回接種が必要なのかを背景を含めて説明して訴えるべきだ。
続けて産経社説は指摘する。
「政府は東京五輪・パラリンピック開催年度までに風疹の『排除』を目指しているが、流行がこのまま1年以上続くと困難になる」
「訪日客の増加で新しい感染症が警戒され、水際対策が求められているとき、足元の感染症への認識が薄く、対策が不十分ではどうしようもない」
まさに3選を果たした安倍首相の真価が問われるときだ。しかし、安倍政権は足元の風疹の流行に目を向けることができるだろうか。大いに疑問である。
(写真=時事通信フォト)