経営管理チームは顧客に率直なメッセージを送ることに決め、営業、マーケティング、顧客サービスの各チームもそれに同意した。「先般来の原油価格の上昇により、わが社の原料費は急上昇し、輸送費と施設費も上昇しました。そのためこれらのコストの一部を顧客に転嫁するしか方法がなくなりました」というメッセージである。顧客と足並みを揃えた一貫性のあるコミュニケーション・プランは奏功し、シーマン社は大幅な値上げを実現できた。
経営管理チームは、20%の売り上げ増を見込んでごく最近まで増強に努めていた製造業務を迅速に縮小する方法も見つけ出した。多くの労働者をより労働集約的な業務に配置転換して、大量レイオフを回避したのだ。これには、厳しい時期に士気を低下させないという副次的なメリットもあった。
(2)部下の仕事を(離れたところから)しっかり見つめる
チームの仕事ぶりをしっかり見つめていよう。しかし、監視してはいけない。任せた仕事の進捗状況を頻繁に尋ねる、あらゆる細部を知ろうとする、同じ質問を何度もする――このような細かい管理は、部下の自信と本来の意欲を押しつぶして、彼らの創造性とイノベーション能力を殺すことになる。
彼らが行っていることに関心を示し、建設的で慎重に言葉を選んだアドバイスを与えよう。
創造的な仕事に携わる人々のチームを率いるためには、バランスのとれたアプローチが必要だ。パット・ファロンとともに広告会社を設立し、彼と『Juicing the Orange: How to Turn Creativity into a Powerful Business Advantage』(2006)を著しているフレッド・センによれば、「部下はたしかにリーダーが引っ張っていってくれることを望んでいるが、リーダーは部下にミスをさせ、考えさせ、彼ら自身に仕事を提示させて、その仕事を褒めてやらなくてはいけない」。
部下の仕事を――たとえそれが不完全であっても――褒めることは、リーダーの決定的に重要な仕事である。