ライバルのAndroidでは、5万円以下でデュアルレンズを搭載した低価格な高性能端末も増えている。日本国内でシェアナンバーワンのiPhoneとはいえかなり強気の価格設定だ。XS Maxの512GBモデルは16万4800円と、一般的なモバイルノートパソコンよりも高い。

一方でアップルは、旧モデルのiPhone 7/8シリーズを大幅に値下げしてラインアップに残している。ここ数年、1世代前のモデルが値下げされて廉価になるケースは見られたが、2世代前のモデルをアップル自身が併売するのは珍しい。32GBの小容量とはいえiPhone 7のSIMフリー版は税別5万800円で、アップルが提供する金利なしの分割払いを利用すると、通信料を含めても月額1万円を大幅に切る価格で利用できる。

筆者のおすすめは「iPhone XR」

今回の発表を受けて筆者がお勧めするモデルはiPhone XRだ。デュアルレンズではないため、光学2倍相当のズームが使えないという制限はあるが、SoCとTrueDepthカメラ搭載でアップルが提供する最新の機能を体験できる。

「Face ID」に価値を感じないのであれば、デュアルレンズを搭載するiPhone 7 Plusも候補になる。32GBモデルは税別6万4800円だ。アップルはSoCを含むハードウェアとOS、付属アプリなどを自社開発しているため、各モデルの処理速度や各種機能の有無をある程度戦略的に決められる。iPhone 7 Plusは2年前のモデルだが、処理速度は十分だし、デュアルレンズによるカメラ性能も高い。大幅値下げによって、コスパに優れるモデルへと変身した。

デュアルレンズや手ぶれ補正機構も備え、十分なカメラ性能を備えるiPhone 7。2年前の機種とはいえiOSが快適に動作する。6万円台で購入できる高いコスパには注目(アップルのプレスリリースより)

ここ最近、新機種になるほど高価格化が進むiPhoneだが、旧モデルを大幅値下げすることで、結果的にアップルはさまざまな層に響く製品ラインアップを完成させたことになる。高価格で現状では手が出せないApple 12 Bionicチップ搭載モデルも、来年の今ごろには値下げされるはずなので、Face IDやアニ文字がiPhoneユーザーに普及するのもそう遠くないだろう。

吉田博英(よしだ・ひろひで)
TechCrunch Japan編集統括
1971年生まれ。95年アスキー(現・KADOKAWA)入社。アップル系の総合月刊誌「MACPOWER」「Mac People」編集部などに所属。「Mac People」編集長、「週刊アスキー」編集長などを歴任。に就任。2018年8月より「TechCrunch Japan」編集統括を務める。
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