その他の主要スペックの変化は、モバイル回線の通信速度向上、「ゴールド」の本体色追加、耐水等級のアップ、ビデオ撮影時のステレオ録音など。iPhone Xとの比較ではパっとしない印象だった。
機械学習の計算能力は8倍強、カメラ機能が大幅進化
アップルが発表会でしきりにアピールしていたが、iPhone XSのウリは心臓部となるApple A12 Bionicだ。A11 Bionicに比べて、処理速度を司る「性能コア」は15%高速となり、バッテリー寿命などに関係する「効率コア」は消費電力量が50%削減されている。描画を担当するGPUについても、A11に比べて50%高速になった。とはいえこのあたりの進化は、プロセスルールの微細化や動作クロックの変更で達成できるものなので、少し乱暴に言うと想定内だった。
一方で驚いたのは、機械学習に特化した「ニューラルエンジン」と呼ばれるハードウェアが超強化された点だ。これもA11から備わっていたのだが、計算能力がA11の毎秒6000億回から、毎秒5兆回と8倍強の性能アップとなっている。
ニューラルエンジンの大幅な性能のアップの恩恵を受けられるのはカメラ機能。被写体の背景をソフトウェア的に“ボカす”ことができる従来の「ポートレートモード」が進化し、ボケ効果や深度をユーザーが手動で調整できるようになった。そのほか、HDR合成や手ぶれ補正などにもニューラルエンジンの機械学習が活用されているようだ。
万人受けはしないが、一部ユーザーには羨望の機能も
万人向けには、カメラ機能の強化が最大のアピールポイントとなるが、iPhone XSには一部のユーザーにとってうれしい機能も搭載されている。
モバイルSuicaを使っているユーザーにとってはバッテリーが切れるとその機能が使えないことは致命的な欠点だった。だがiPhone XSは、本体のバッテリーが切れてもモバイルSuicaが使える「予備電力機能付きエクスプレスカード」を搭載した。