人の頑張りを後押しするものとは何か

目標を設定しても達成できない。あるいは目標達成のために何をしたらよいかわからないという方が多いと思います。それは、そもそも目標の立て方に問題があるからです。

「未来の目的・目標の4観点」という図をご覧ください。目的・目標を「有形=形のある」「無形=形のない」軸と「自分」「社会・他者」軸とで4つに分割してあります。

一般に目標を立てるときは「自分」にとっての「形のある」目標が突出しがちです。「売り上げ20%アップ」などがそれに当たります。

しかし、「自分・有形」の目標には、これと対を成す「社会・他者」への「無形」の目標が存在します。たとえば「業界を元気にする」とか「同僚や部下の励みにする」といったものです。

この2つが明確になれば、「自分・無形」「社会・他者・有形」のほうも、たとえば前者は「仕事に自信と誇りを持つ」、後者は「お客様の暮らしを楽しくする」という具合に見えてきます。

今の50代以上の世代は「自分・有形」の目標一本でやってきました。お客様の満足より売り上げ優先、家族が仕事の犠牲になるのもやむなしといった猛烈社員がモデルでした。

しかし、現在は企業の社会的責任が問われ、若い世代は自分の仕事の社会的な価値を重く見ますし、仕事と同様に家族も大事にしたいと望んでいます。

目標を立てられずに悩んだり、目上の人から「夢がない」などと叱られた経験のある人は、その目上の人も含めて「自分・有形」の目標のみに目を向けていたのだと思います。そもそも、「自分・有形」の目標一本では、人間そう頑張り切れるものではありません。むしろ、家族・同僚やお客様の喜び、さらに仕事にやりがいを感じる感情が、人の頑張りを後押しするのです。

「自分・有形」の目標一本では、目標を達成できなかったときの心のダメージも大きいのですが、4観点の目標設定だと、仮に目標が達成できなかったとしても、そこに向上の足跡を確認でき、自分を肯定的に受け止めることができます。この自己肯定感は、人が困難を克服しようとするとき、とても重要な役割をします。4観点で目標を立てることが大切なのは、それゆえです。