突出した能力でファンを熱狂させる米大リーグ・大谷翔平。高校時代にその実力を培ったとされるユニークな目標達成ツール。それを考案した「張本人」に、ビジネスの場での活かし方を語っていただいた。

“大谷マンダラ”にダメ出しする理由

「オープンウィンドウ64(OW64)」は、私が考案した教育法、いわゆる原田メソッドで最初に使うツールです。大リーガー・大谷翔平君が高校1年生のときに書いたOW64が「大谷マンダラ」などとメディアで取り上げられました。

大谷君のOW64に「すごい!」「よく書けている」と皆さん驚きますが、まだまだ改善の余地があり満点ではありません。高1の作品としては素晴らしいですが、正式な書き方の基準としてはギリギリ合格といったところでしょうか。どこがどうダメなのかは追って述べることとし、まず原田メソッドについてお話ししましょう。

原田メソッドは、OW64のほか長期目的・目標設定シート、日誌、習慣形成のためのルーティンチェック表をツールとするセルフマネジメント法。目的・目標を達成していく過程によって人間力を養い、成果・パフォーマンスを確実に発揮できる自立型の人材・組織をつくるのが狙いです。

20年間の教師経験に基づいて、私が独自のメソッドを開発したのは、今から15年ほど前ですが、スポーツ選手ばかりでなく、むしろ企業のほうが導入に積極的で、国内で約430社、延べ8万6000人がこれを活用しています。さらに近年は海外からの引き合いも多く、世界19カ国に広まっています。

これほどまでに原田メソッドが普及した背景には、求められる人材とその教育のあり方が、世界的に大きく変化していることがあります。

従来の日本の学校教育は、知識の暗記を重視し、点数や偏差値、順位で人を評価してきました。しかし、知識や情報が即座に得られるIТ時代の今は、知識の蓄積より、知識や情報をどう使いこなすかのほうが重要になります。つまり知の編集・編纂によって問題解決を図ったり、新しいものや仕組みを生み出す力がより重視されるのです。

私は、前者の教育を過去思考インプット型、後者を未来志向アウトプット型と呼んでいますが、世界の教育先進国はすでにアウトプット型にシフトしています。立ち遅れている日本も、2020年の大学入試改革をひとつのターニングポイントと見なし、アウトプット型の教育へシフトし始めています。

原田メソッドはまさしくそのアウトプット型の教育法であり、海外で広く認められている理由もそこにあります。