文字の大きさ決め、統一感を出す

次に、個々の経営課題に対する具体的な対策案を提示する。鉱山車両用タイヤのライフサイクルでの「コスト最適化」という価値提案についてなら、「タイヤの寿命が短い」という困りごとに「よく走る商品Bへの交換」という対策案を示し、「10%のコスト削減」という貢献額を添える。さらに、経営者層への「依頼」で、現場の困りごと解決へのバックアップを促す。

写真=iStock.com/Nirian

ここまでの2ステップが「序論」「本論」とすれば、3つめの「効果額・スケジュール」は「結論」に当たる。

経営者にとっての最大の関心事は何かというと、「継続的利益と持続的成長」。ただ単にざっくりとした全体の数字を示すのではなく、提供する商品やサービスごとに、「短期」「中期」「長期」の期間ごとに具体的な数字を示すことで初めて納得してもらえるようになる。「緻密な『仮説』『検証』の繰り返しによって出てきた数字の一覧表は、ある意味で“究極の価値の見える化”といえ、経営者層の心に刺さります」と小路さんは話す。

そのほか小路さんは日頃のパワポ資料作成にあたって、文章はなるべく入れず、数字やイラストなどを多用することを基本にしている。また、大きなタイトルは20ポイント、中くらいのタイトルは16ポイントなど、フォントの大きさを決めたり、「ポジティブな情報は青、ネガティブな情報は赤」といった具合に色使いも決め、全体に統一感を持たせている。

BtoBのパワポ資料にはお客さまや自社の機密事項がつまっていて、本来なら門外不出の資料である。一部とはいえ、BtoBビジネスに長けたブリヂストンのパワポ資料から学ぶべき点は多いはずだ。