あるエンジニアは「企画段階ではラック&ピニオンのステアリングやフロントサスペンションの独立化、リアサスの5リンク化なども検討しましたが、このサイズ、車両重量の中では『最適解』です」と語っている。
“合理的で無駄のない機能美”デザインも高評価
内外装のデザインは大きく変わった。エクステリアは丸みを帯びていた従来モデルに対してスクエアスタイルを採用。これは姿勢・状況を把握しやすさや積載性と言った機能を形にした結果だそうだ。こうした変化は、40年ぶりのフルモデルチェンジながら従来モデルとうり二つのデザインを採用したメルセデスベンツGクラスとは対照的だ。
実は随所に歴代モデルを彷彿とさせる要素が盛り込まれているが、懐古趣味ではなく、各アイテムの必然性を検討した結果だそうだ。インテリアも同様の考え方で、水平基調のインパネは過酷な環境における運転のしやすさを重視するなど、すべては「機能のためのデザイン」だという。
ラゲッジはプロユーザー(ハンターや森林保全関係)から「もう少しラゲッジを使いやすくしてほしい」と言う要望が多く、従来モデルより広くフラットな荷室に仕上がっている。
トレンドに流されずシンプルだが長く使えるデザインからは、一眼レフカメラやダイバーズウォッチといったプロ仕様の道具と同じ「無駄のない機能美」が感じられる。色気を出さずに機能に徹した潔さは、最近のデザイントレンドの中で、むしろ新鮮かつ個性的に見える。足し算でも引き算でもなく、「合理的で無駄のない機能美を実現したデザイン」が走りと共に高い評価を受けているのだろう。