その一方、オンロードでの印象は激変した。ラダーフレームは特有の緩さが残るが、ブワブワでグニャグニャだった従来モデルと比べると全てのネジを増し締めしたようなシャッキリした感触と剛性の高さ、乗用車から乗り換えても違和感のないハンドリングと快適性を実現している。

軽自動車SUVの「ジムニー」

軽自動車のジムニーと登録車のジムニーシエラは全幅とトレッド(左右輪幅)、タイヤサイズが異なるが、ジムニーは軽快でキビキビな乗り味に対して、ジムニーシエラは安定感が高くゆったりした乗り味と性格は若干異なる。特にジムニーシエラは欧州でも発売されるため、ドイツ・アウトバーンの高速域を安心してシッカリ走れる性能が備えられている。

パワートレインはジムニーが660ccターボ(R06A)、ジムニーシエラが1500ccの自然吸気(K15B)を搭載。どちらも5速MT/4速ATを組み合わせるが、どちらも出力アップに伴いファイナル(最終減速比)をハイギアード化。高速走行時のエンジン回転数が抑えられたことで静粛性も向上している。

このように新型として「おっ、変わったね」と言う部分と、これまでと変わらない「ジムニーらしさ」がうまく融合したことが、これまで「ジムニーが欲しいけど、普段使いは厳しい」と躊躇していたユーザーを動かした。

従来と変わらないボディサイズ

最近はフルモデルチェンジの度に大きく重くなるクルマが多い。だがジムニーシリーズはボディサイズ、車両重量共に従来モデルとほぼ同等としている。ボディサイズ維持は軽自動車規格の問題が大きいが、車両重量は衝突安全、機能、信頼性、走行性能など20年分の進化を行いながらも重量アップを最小限にとどめたエンジニアの努力の結晶だろう。