「受験生への背信行為だというほかない」
対する読売新聞はどうだろうか。
朝日新聞に1日遅れた8月4日付の1番手の社説で「受験生への説明責任を果たせ」(見出し)と主張する。
読売社説は冒頭で「公正・公平が大原則の大学入試で、女性という理由だけで内密に減点する。事実であるなら、受験生への背信行為だというほかない」と書く。
「背信行為」という言葉は、その通りだ。東京医大はこの批判の言葉を受け止め、深く反省すべきである。読売社説はこうも指摘する。
「入学定員を男女ごとに設定すること自体に問題はない」
「ただし、事前にそれを公表するのが前提となる。東京医大は、受験生には一切伏せたまま、2011年ごろから女子の得点を減らしたり、合格率を一定の割合に抑えたりしていた疑いがある」
「東京医大の姿勢は、社会の流れにも逆行する」
沙鴎一歩も前述したが、受験生に隠していたところが大きな問題なのである。さらに読売社説はこう書く。
「大学を卒業した医師の多くは、系列の病院で勤務する。関係者は『女子は結婚や出産を機に離職することが多い。男性医師が大学病院を支えるという意識が学内に強い』と説明している」
「経営判断として、医師不足への危機感があったとしても、女子を入試の段階で意図的に排除しようとする手法は許されまい。女性医師が働きやすい環境を整えるのが、大学の務めだろう」
「厚生労働省は、出産で離職した女性医師の復職に注力している。有識者会議は2月、女性医師への支援の必要性を強調した緊急提言をまとめた。東京医大の姿勢は、こういった流れにも逆行する」
朝日社説も指摘していたように、女性医師が働きやすい環境を整えることこそが大切なのだ。東京医大はもちろんのこと、全国の医大の経営者はそこを自覚してほしい。
(写真=時事通信フォト)