ベンチャー投資を成功させるために必要な5つの条件

KDDIがうまく投資できている理由は、プロのベンチャー・キャピタルである「グローバル・ブレイン」とパートナーを組んだことです。両社が立ち上げた「KDDIオープンイノベーションファンド」は、1号、2号ファンドの運用総額が50億円で、18年4月には今後5年で約200億円の投資を行う予定の3号ファンドの設立も発表しました。KDDIは単にCVCを自前でやるのではなく、いいパートナーを探し、大胆に任せるという仕組みをつくったことで成功したのです。

このように、必ずしも社内に投資のエキスパートがいない場合でも、投資経験のあるパートナーとアライアンスを組んで、“目利き”を通じて投資をすれば、成功するケースも少なくありません。ベンチャー企業にとっても、CVCと組んだほうが、シナジー効果が生まれやすいというメリットがあります。通常のベンチャー・キャピタルと比べて、CVCなら大企業の巨大なコアビジネスを活用し、販路やノウハウだけでなく顧客も獲得できるのです。

では、CVCが成功するための必要な条件とは何か。まず1つ目は投資の目的とは何か、狙いをきちんと定めることです。2つ目は、投資する側と投資される側とのシナジー効果を見極めることです。シナジー効果が生まれにくい場合もあるので、ある程度の距離感を持って対応することが必要になってきます。3つ目は投資先の経営者に権限移譲を行うことです。相手を信用して思い切ってリスクを委ねること。反対に、やってはいけないのは経営企画部門のスタッフなどにコントロールさせることです。ベンチャーをやったことがない人間に経営面のアドバイスなどできるわけがありません。それをやってしまったことが00年代初頭の失敗の要因だったと言えるでしょう。そして4つ目が、ベンチャーに熟知したベンチャー・キャピタルとアライアンスを組むこと。これはKDDIの事例を見れば、わかるはずです。最後の5つ目が、長期的な視点を持つことです。