6月15日の民泊新法「住宅宿泊事業法」の施行で民泊ビジネスが大混乱している。観光庁がサイトから違法な民泊業者の契約を取り消すように要請したところ、違法業者が次々に発覚し、物件リストから削除された。民泊新法は単に訪日外国人の受け入れだけでなく、人口減少や少子高齢化の中で空き家になっている家の再活用、地域活性化などにも大きな期待が寄せられている。新法で大混乱の民泊ビジネスは正常化できるのか。
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訪日外国人の急増で民泊ニーズの高まり

民泊ビジネスが今、大きな岐路に立たされている。民泊新法「住宅宿泊事業法」が6月15日に施行、観光庁がサイトから民泊営業の申請していない違法な民泊業者の契約を取り消すよう要請したが、実際にはそうした闇業者が仲介業者のネット上に暗躍していたからだ。

民泊仲介サイトの世界最大手のAirbnbは法令に従い観光庁に掲載物件リストを提出すると闇業者が次々に発覚した。

「リスティングされている業者については仲介業者に確認を求めてきたが、それがきちんとできていなかったようだ」(観光庁関係者)

これでは日本の事情を知らない訪日外国人が闇業者のヤミ民泊を利用することになる。なぜこんなことが横行してしまっているのか。

訪日外国人が急増したのは2003年からスタートした「ビジット・ジャパン・キャンペーン」や2020年に開催が予定されている「東京オリンピック・パラリンピック」の効果。03年度には524万人の訪日外国人が16年には2403万人と2000万人の大台を突破、17年には2869万人と3000万人に迫る勢いだ。さらに政府は20年には4000万人、30年には6000万人をめざすことから、宿泊施設の増設が急務となっていった。

政府は大型クルーズで年間500万人の訪日外国人の集客を目指し、民泊の整備にも大きな期待を寄せた。

民泊とはそもそも旅行者などが、一般の民家に宿泊することで、欧米などはバーケーションレンタルやコンドミニアムなどという形ですでに深く浸透している。

「民泊は世界的にも普及し、日本での民泊ニーズも高まっている。日本のライフスタイルを体験したい、シンプルでリーズナブルな宿泊先に泊まりたい、地方のニーズを体験したといった外国人が増えているのです」(観光庁関係者)