26歳でオーナーとして「銀座ルナピエーナ」を開いた日高利美ママも「話を聞いてもらえていると感じられるのは、相手が話した内容をちゃんと記憶してくれているからです」と話す。

利美ママ●「銀座ルナピエーナ」オーナーママ 銀座ママになるべく、18歳から銀座で働き始める。夜の銀座の世界で25年、現在は事業家として複数の会社を経営。

「特に自分がそのことをその人に話したのを忘れているような、たわいもない話ほど『おっ』と思います。例えば、『先週末はゴルフでしたよね。お天気が悪かったけれど、体調を崩されていませんか』など、日常のことはもちろん、出身地、出身校や仕事などの経歴、趣味、ペットなど、覚えられていて嬉しいことは多岐にわたります。また、相手の苦手なものを覚えているというのも、強い印象を残します。私の経験でいうと、好きな食べ物と嫌いな食べ物だったら、嫌いな食べ物を覚えられたほうが、より嬉しく感じられるようです」(利美ママ)

夜の秘書室の力を、接待で上手に活用

デキる男は酒を飲みながらただ漠然と会話をしているわけではない。「なにげない会話で、『この前の健康診断で胃にピロリ菌がいるのがわかったんだけど、ちょっと調子が悪いみたい』と笑いながら話されると、そのまま聞き逃してしまいがちですが、デキる男性はそれを聞き逃しません。取引先の方であれば接待で食事をする機会が多くあります。接待の食事会を私たちが予約してさしあげることもありますので、『あの人は胃の調子が悪いと言ってたから、お肉じゃなくて和食がいいかな』と相談を受けると、気配りをなさっているんだなと感じます。雑談などたわいのない話の中の情報を聞き逃さず、さりげなく会話や行動に反映させて人の心をつかむ方は素敵ですね」(亜紀ママ)

交際費が減っていくご時世だが、銀座をよりうまく使いこなし、クラブを第2のビジネスの場として味方に付けた男が出世する。

「クラブは『第2秘書室』とも呼ばれているんですよ。大きな接待は会社とクラブの協同プロジェクトのようなもの。だからこそ、部下やクラブのスタッフをうまく使える男性が成功するんです」と亜紀ママは話す。

そのために一番必要なものは「コミュニケーション能力」で、中でもお店との連携が大切なのだという。

「デキる男性は、本当に接待がうまく、下準備も緻密。まず、『今度、こんなお客様を連れて行くから頼むね』と予約を入れ、接待についての情報を知らせてくれます。私たちもプロですので、情報がなくてもおもてなしはできますが、事前にゲストの情報を集められると心づもりができ、当日はより聞き上手に徹せられます。また、デキる男性は接待中も、クラブのホステスに会話を決して丸投げしません。会話の中に、ゲストがどのようなビジネスをしているのかがわかるような話題や質問を織り交ぜて、私たちがとんちんかんな質問をしないよう、さりげなく誘導してくれます。そうしていただけると、今度は私たちが、ゲストの方から男性相手にはこぼさないような話を引き出していきます。それが私たちの役目ですから」(亜紀ママ)