会話を楽しみ、場の空気をうまくつくりあげるには、話題の仕込みがとても重要になる。酒席の場を盛り上げるプロであるクラブのママたちは、聞き上手になるためにどのような知恵をしぼっているのだろうか。
「野球、ブランド、映画など、話題にできる“得意分野”を、最低5つから、できれば10くらいつくって準備しておき、お客様の得意な話題につなげていきます。ただし、話題をたくさん仕込んだとしても、その知識をただ単にひけらかすだけでは失格です。飛び交う話題をきちんと理解し、タイミングよくふさわしい間(あい)の手を入れ、会話が途切れることなく、気持ちよくお喋りいただくようにしています」(亜紀ママ)
質問は人のため、自分のため
利美ママも「自分ばかり話してしまうのはNGですが、話題提供をしていかなければ話に花が咲きません」と指摘し、こう続ける。
「大切なのは、話の流れをつかんで展開していくことです。デキる男性は、相手の話す内容を受けて、うまいタイミングで質問や疑問をぶつけて、会話を盛り上げることができます。自分の考えとは異なる意見に対しても『オレはそういうのはわからないな』『それ、違うんじゃない?』と素直に伝え、周りから新たな意見を引き出し、さらに話を盛り上げる。否定的な発言をしても周りが嫌な気分にならないのは、同時に相手のことを認める発言を必ずなさっているからです」
質問がうまい男性は、いったいどのような質問をしているのだろうか。
「よく耳にするのは『夢は何?』と『これからどうなりたいの?』という質問です。私も18歳で銀座で働き始めてから、何度も聞かれました。『私、銀座のママになりたいの』と答えると、さらに『お金はどうするの?』などと質問される。そうこうしながら必要なことをいろいろ教えていただき、例えば金融機関からお金を借りられるように準備を始めたりして、実際に銀座にお店を持つことができました。質問をして相手に語らせることで、その夢を実現させるすごい方たちです。会社でも、部下の方に同様の質問をして、自主的に考え行動させているのではないかと思います」(利美ママ)
聞き上手な男性は、決して相手のためだけに質問をしているわけではない。
「質問することで、最終的に自分のビジネスのヒントになる情報を引き出しているように感じます。そういう方は私たちにも『最近何してる?』『何か楽しいことあった?』とよく声をかけてくださる。これは、人が興味、関心をもっていることは、自分にとっても役立つことかもしれないと考えてのことだと思います」(同)