女性の収入が上がれば家事を「外注」できる

【3:外部サービス利用のために必要な女性の収入向上】

共働き女性の家事の負担を減らすためには、配偶者(夫)など家族の協力を得ることに加えて、家事の全体量を削減する工夫も必要です。そのためには、完璧主義をやめて家事のレベルを落とす、あるいは、便利な家電を利用して家事の時間を短くするほかに、外部サービスを利用することも考えられます。

日本総合研究所の2017年の調査によれば、家政婦などによる自宅の清掃サービスの利用を望む女性は少なくありません。しかし、女性の年収別に見ると、利用したいと回答した女性の割合は、年収400万円以上の女性では27%ですが、年収400万円未満の女性では16%まで下がります。

女性が家事の負担を軽減するために外部サービスを利用するには、経済的な余裕があることが前提となるのです。簡単にはいきませんが、収入を上げて経済的余裕を作ることができれば、女性の負担を減らすができると言えるでしょう。

では、働く女性の収入を上げるためには、どうしたらいいでしょうか。もちろん、個々人の社内における努力や実績が最重要ですが、収入を底上げできる「施策」が必要なのではないのでしょうか。

2017年の調査では、女性の労働価値観について調査を行いました。それによれば、「自己成長のために働くことが重要だ」と考える女性は49.8%に上るものの、「出世・昇進のために働くことが重要だ」と考える女性はわずか13.6%でした。また、「やりたい仕事であれば、仕事以外の時間が削られても仕方がない」と考える女性は23.8%と少数派という結果でした。

▼「成果」で働く女性の人事評価をすべし

このことからは、仕事を通じて自己成長したいという意欲が高い女性が多い一方で、出世・昇進に関心が低いこと、また家事や育児などの事情から仕事の時間を優先できる女性は少ないという状況が透けて見えてきます。

仕事と家庭の両立をしながら働く女性の収入を向上させるためには、テレワークなど場所や時間を柔軟に選択できる職場環境の整備と、人事評価基準を透明化した上で、働いた時間の長さ(インプット)ではなく、成果(アウトプット)で評価される評価体系が必要と言えるのではないでしょうか。

家事負担の軽減のためには、収入金額に対して、外部サービス(例:家事サービス)が割高で利用しづらい女性の現状を改善しなければなりません。そのためには、夫婦それぞれが勤務する企業が前述したような柔軟な働き方を許容することや評価体系を改めるなどして、女性の収入が少しでも上がるような施策を行うことも重要だと考えます。

【最後に】

働く女性の家事負担を減らすためには、配偶者(夫)の労働環境が改善されることに加え、外部サービスが利用できるように、働く女性に経済的余裕が少しでもできることが大切です。

女性の平均年収(非正規を含む)は300万円未満と5年前と比べても大きく増えていません(国税庁「国民給与の実態調査」)。仕事と家庭を両立しながら働く女性が増える中、女性の収入を上げるため国や企業がどんな施策を打ち出していくのか注視する必要があると考えます。

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