「渡部教授の魅力は学生とよくつるむこと」

――“口止めされた”と感じたあとは何を話したのか。

早稲田大学文学学術院の「現代文芸コース」の教員一覧。

「そのあとは『あなたにはわからないかもしれないが、(セクハラ被害を受けた)女性にもよくないところがある』『渡部教授にセクハラされる学生には自分から近寄っているという部分もある』『渡部教授の魅力は学生とよくつるむこと。彼から何もかも奪ったら、彼の魅力がなくなってしまうのではないか』と言われました」

「私は『学生と楽しく飲むことと、渡部教授がその女性にしたことは違うのでは』と指摘しましたが、相手は『うーん』と黙りこんでしまいました。無理な要求をしていることはわかっているけど、察してくれ、忖度してくれと言いたいのだろう、そんな印象を受けました」

――その時、何を思ったか。

「私は被害を受けた女性については、ゼミも無事に移動できて、万事順調にいっているものだと当時は勘違いしていました。ですからこの先生は、もう片付いたはずの事案について、随分と慎重な対応をする人だなと感じました。あとから、問題がほとんど片付いていなかったということがわかり、愕然としました」

学生ファーストではなく、大学ファーストな体質

――女性はハラスメントについて現代文芸コースの主任だった男性教授に相談したが、「コースの外の人に口外するな」と対応されたとの証言がある。この男性教員は、元主任の男性教授にもなんらかの指示を出していたのか。

「それはわかりません」

――女性は早稲田大学のハラスメント防止室に駆け込んだが、そこでもつらい思いをしたと主張している。教員からみて大学の対応についてどう思うか。

「被害女性にしっかり寄り添えなかった私がこのようなことを言える立場にはないのですが、学生に対するケアがまだまだ足りないと感じます。過去にも、とある教授がセクハラ事案で辞職するということがありました。防止室の調査が始まるとすぐその教授の授業は休講になりましたが、学生は何があったのか、なぜ休講なのかをなかなか教えてもらえませんでした。結局、学生が大学側に説明会の開催を求めるまで、何の動きもなかったんです。その時から、学生ファーストではなく、大学ファーストな体質があまり変わっていないのではないかと不安に思い続けています。私が草の根運動的なことをせざるを得ないと考えるようになったのには、そうした背景があります」