自分で自分の人生を決めている感覚がある

脱毛なら機械で処理するので技術は盗まれないし、誰がやっても仕上がりに差が出にくい。さらに当時のジャカルタではガムテープのようなものを使って毛を抜く脱毛サロンしかありませんでした。これは正確に言えば「抜毛」。結局毛が生えてきてしまいます。

継続的な施術により確実に脱毛できる機械を思い切って日本から取り寄せました。価格は1000万円。居候をさせてもらっているインドネシア人にも賛同してもらい、一緒に資金を調達し、店をオープン。当時のジャカルタには日本人が1万3000人ほどいて、美容意識の高い日本人駐在員の奥さん3000人をターゲットにしました。

結果は大成功。初月で49万円の売り上げが入り、みるみるうちに売り上げは伸び、現在は9店舗を出店するまでになり、ほかに飲食店も始めました。これまでの半生を振り返ってみても、脱サラしたあとの現在のほうが私は幸せです。サラリーマン時代に比べ、バリ島の人たちのように自分で自分の人生を決めている感覚があります。

かつての私がそうでしたが、サラリーマンは自分と同じ年収で、同じ生活サイクルの人同士で固まってしまいます。そうではなく、今の会社以外の人と知り合ってみてはいかがでしょうか。出会いで人生は変わると思います。

▼キャリアコンサルタント・谷出正直さんの視点
行動をしたことで偶然の出会いが生まれ、その出会いを大切にしたことがうまくいったポイントです。
米国のジョン・D・クランボルツ教授の「計画的偶発性理論」によると、「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的な事象によって決定される」と言われ、偶発的な事象を引き寄せるために「好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心」を持っているといいといわれます。
室野さんは、この5つを持ちながら、行動し、偶然の出会いからビジネスが成功する種をつかみました。種を大きくする能力や人脈があったことも大きいでしょう。