口癖は「君のため」そんな上司は疑え

振り回されないための最善策は、振り回す人に近寄らないことに尽きる。職場内で上司や先輩との関係を完全に断ち切ることは難しいが、いち早く「振り回す」要素を持つ人を発見すれば、予防策をとれるかもしれない。そのために、「振り回す人」の特徴も見ておきたい。

たとえば、「これは君の成長のため」と言いながら理不尽なことを言いつける上司とは、できる限り距離を置いたほうがいい。親切心からではなく、自分がやりたくない汚れ仕事を部下に押しつけたり、支配したりしようとしている可能性もある。

どうしても関わらなくてはいけない場合の対策は、指示内容をメールで送ってもらうなど証拠として残すこと。また、2人きりにならないことも重要だ。周囲の目がある状況なら、ハラスメントも起こりにくくなる。2人きりの場合は、「ご指示の内容を忘れてはいけないので」と前置きして録音するのもアリだ。

「このタイプの振り回す人は、内心では、会社から切られたくない、悪く思われたくないという願望を抱いています。彼らは若いとき『過剰警戒型』のパーソナリティーだった可能性がとても高いんです。過剰警戒型は、非常に自己愛が強く、ちょっとでも批判されたらひどく落ち込んでしまうため、批判されないように、努力して、環境に対して過剰に適応してきた人が多いですね。その反動で、自分がある程度のポジションにつくと、無自覚なままに部下を道具のように使い、気に入らないことがあると激高して、攻撃的になったりするんです。これを『無自覚型』と呼びますが、一番怖いケースです」

トランプ大統領は、自己愛過剰型

無自覚型の特徴として、アメリカの精神科医、グレン・ギャバードは次の6つを挙げている。まず、他人の反応に気づかない。2番目が、傲慢で攻撃的。「おまえの代わりはいくらでもいる」「おまえはバカか」などと人を傷つけるような言葉を平気で口にする上司がこれにあてはまる。3番目は、自己陶酔。自分の権力や影響力に酔ってしまっているのだ。4番目は、自己顕示欲が強いこと。チームの成果や部下の功績を横取りする上司がこれだ。5番目は、送信機はあるが、受信機がないこと。一方的に自分の意見を押しつけて、相手の意見は一切聞かない。6番目は、他人の気持ちを傷つけることに鈍感なことだ。

「無自覚型」の典型例が、アメリカの大統領、ドナルド・トランプ氏だ。記者会見で特定のメディアの記者を批判して「フェイクニュースだ」と言い張り、質問をシャットアウト。あるいは、大統領に就任するとすぐに、オバマ政権が推進してきたTPP協定からの離脱を表明。彼の一連の行動の賛否や是非はともかく、「無自覚型」の特徴が顕著に表れていることは間違いない、と片田氏は指摘する。

「彼は人を振り回す人間のなかでも『自己愛過剰型』と言えます。自己愛過剰型は、自分自身の言動が周囲に与える影響への想像力や、他人の痛みへの共感が欠如していることが特徴です」

▼近づくと危険! 他人を振り回す人7つの特徴
1.自分を特別視し、過大評価する
2.強い万能感と支配欲求を持つ
3.マイルールや価値観を押しつける
4.すぐ不機嫌になる
5.自分の行為が人に及ぼす影響を想像できない
6.打算的で、損得だけで動く
7.承認欲求が強い
※取材をもとに編集部作成。