東大に受かった途端、手のひら返しで称賛

多数のラジオ・テレビ番組のレギュラーを抱えるモーリー・ロバートソンさん。

モーリー・ロバートソン
1963年、ニューヨーク生まれ。88年ハーバード大学卒。国際ジャーナリスト、ラジオDJ、ミュージシャンとして多方面で活躍中。

メディアでの活動は、自身を例えて『白モーリー』としての顔だという。表舞台で得たジャーナリストという肩書のおかげで、初めて『黒モーリー』として持論を述べることができるのだとか。

そんな「白と黒」の生き方の原点は、少年時代の体験として本書にも記されている。

「外国人というだけで教師から不良のレッテルを貼られ、徹底的に監視されました。ところが、僕が東大に受かった途端、手のひらを返したように称賛されたのです。それ以来、逆に懐に潜り込むことで、偏見をハッキングしてやろうと思ったんです」

本書では、自身の実体験から得たアメリカと日本の文化の違いを軸にした、自由で柔軟な思考法が、ざっくばらんで軽快な『黒モーリー』として語られている。ミュージシャンの顔も持つ氏ならではの、音楽や宗教観から繋がる日本人の国民性の分析も非常に興味深い。

マニュアルを捨てよ

そんな本書の構想は、実は十数年前から温めていたという。「出版するなら今がそのタイミングだと思った」。その理由とは、「近年、スマホやSNSの普及により、様々な個性が花ひらくのだろうとワクワクしていましたが、蓋を開けてみると、極端な価値観がぶつかり合って過剰なコンプライアンスが形成されてしまうという、窮屈で息苦しい社会でした」という。