「終わった」自分を受け入れられない

「定年って生前葬だな」。小説『終わった人』は、東大法学部卒の元銀行員・田代壮介の衝撃的な独白から始まる。シニア世代から共感を得、現役世代を戦慄させたベストセラー「定年小説」執筆のきっかけを、内館牧子氏はこう語る。

「まわりが定年を迎えた頃、急にクラス会やサークルの集まりが増えたんです。そこでは、かつてのエリートたちが暇になって『終わって』いた。その様子を見て、冒頭のセリフとタイトルが浮かびました」

定年後も社会から必要とされたいし、本当はもっと働きたい。内館氏が「特技のないエリート」とバッサリ斬る壮介は、ジムに通い、大学院受験を目指し、ベンチャー企業に再就職。「終わった」自分を受け入れられず、見苦しいほどに悪戦苦闘する。さらに、片想いにのめり込むものの、相手にされず、娘からも馬鹿にされる。多くの人から「これは私じゃないか」という感想を受け取ったという。

(撮影=原 貴彦)
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