「許される謝罪」の6つの要素とは
さて、ここまで注意しても失言してしまった場合、どうすればいいのでしょうか? 取るべき方法は3つあります。
まずはジョークにしてしまうこと。例えば、机に置いてあるメモを見て「字が汚いな」とつぶやいたら、上司から「俺が書いたんだけど」と言われてしまった……そういうときは「字が汚い人は天才肌が多いと聞いたことがありますよ」とユーモアを交えることで、空気が和やかになる可能性があります。ただ下手をすると火に油を注ぐ結果になりかねませんので、機転の利くタイプではない人は細心の注意を払いましょう。
時には触れないでスルーすることも重要です。例えば、薄毛をコンプレックスにしている人の前で、「あの芸能人ハゲているな」と言ってしまった……そこで謝ってしまうと、「俺のことをハゲだと思っているのか」と余計その人を傷つける可能性があります。コンプレックスに関わることは触れないほうが賢明です。
最後に謝罪をすること。簡単なように見えますが、テクニックが必要だと私は考えています。
2016年、オハイオ州立大学が「完璧な謝罪法」の研究をしています。わかったのは、「許される謝罪」には6つの要素が必要なことです。
(1)後悔の念を表す
(例)「本当に申し訳ない」
(2)原因を説明する
(例)「自分の不手際であった」
(3)責任を認める
(例)「私の責任である」
(4)反省の弁を述べる
(例)「猛省をしている」
(5)改善策を提示する
(例)「これまでの行いをただす」
(6)許しを請う
(例)「どうか許していただきたい」
有名な「コピーとり」の実験
研究によると、これらの要素の中で最も優先順位が高いのは「(3)責任を認める」です。16年に舛添要一東京都知事(当時)やタレントのベッキーの謝罪会見が話題になりましたが、彼らが批判を浴びた一因として、自らの責任を認める部分が抜け落ちていたことが挙げられます。
また「(2)原因を説明する」ことも必要でしょう。心理学者のエレン・ランガーがおこなった有名な「コピーとり」の実験があります。コピー機の前に並んでいる列の先頭へ行き、「先にコピーをとらせてもらえませんか」とお願いすると、60%の人が譲ってくれる。しかし、「急いでいるので、先にコピーをとらせてもらえませんか」と理由を付け加えると、94%の人が承諾してくれたそうです。