排泄に悩む老人は、世界5億人

【田原】これは介護施設側が買うんですか。個人じゃなく?

【中西】はい。デバイスと中継器、アプリがセットで1台月6000~1万円でレンタルしています。いまは施設向けですが、18年の夏には一般の方にも提供を始める予定です。

【田原】ニーズがとても高い商品だと思うけど、どうしてほかのところはやらないんだろう。

【中西】シモの話って、ちょっと見ないでおこうとする風潮がありますよね。日本に限らず、世界でもそうです。あと、うんこやおしっこが漏れても直接、死につながるわけではない。だから医療機器メーカーや製薬メーカーにとっては優先度の低い分野なのかなと。

【田原】でも、だからこそ市場を独占できる。将来はどうしましょうか。

【中西】まず18年中に当初の目標だった排便のデバイスをつくります。すでにプロトタイプもどきはできているので、あともう一歩。さらに19年の夏までに販売にこぎつけて、さらに改良版を出していく。20年までに、排尿と排便に関する困りごとを解決できる体制を整えたいです。

【田原】全世界だと市場はどれくらいになりますか?

【中西】ざっくり5億人はユーザーになりうるのではないかと。すでにアメリカとヨーロッパに子会社をつくったので、19年、20年に向けて世界でも本格展開していきます。

中西さんから田原さんへの質問

Q. 日本で“うんこ”はタブーですか?

僕はタブーだとは思いません。いままで自分の番組でシモの話を取り上げたことはなかったけど、それはシモの話が問題だという意識がなかったから。今日、中西さんにお話を聞いて、排泄の問題がすでに介護の現場で大きな課題になっていることがわかった。

日本も、シモの話に寛容になってきたんじゃないでしょうか。最近、『うんこ漢字ドリル』という子ども用のドリルがヒットしています。昔から子どもはうんこが好きですが、親はそんなタイトルの本を絶対に買わなかった。それが売れるということは、大人もシモの話に抵抗がなくなってきたということ。うんこはこれからますます身近になるでしょうね。

田原総一朗の遺言:これから身近な存在になる!

(構成=村上 敬 撮影=宇佐美雅浩)
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