超高齢化の進行で介護施設従事者の不足が問題になっている。介護の3つの大きな悩みである食事・入浴・排泄。もっとも改善が難しいのは「排泄」だという。シリコンバレーでの自身の衝撃の経験から、「うんこ」を止めたいと思った起業家の物語。

アメリカ留学時代に起こった“うんこ漏らし事件”

【田原】中西さんは慶應義塾大学商学部の卒業です。学生のころは将来、何をやろうと考えていたのですか?

【中西】子どものころから自分で会社を経営したいと思っていました。ただ、単純に儲かればいいという会社は違う気がしたので、学生のころは何か面白いものはないかと探す毎日でした。

【田原】大学を卒業後は起業するのではなく、医療事業のコンサルティングファームなどで働かれる。

【中西】新規事業に意欲のある大企業に向けて事業の提案をして、経営陣に意思決定させるための材料をそろえる仕事をしていました。ヘルスケア事業のコンサルティングだったので、たとえば「これから在宅診療が増えるので、それをサポートする事業はどうか」といった内容を提案していました。

【田原】その会社にはどれくらいいたのですか?

【中西】4年です。新しいことをするというより、お客さんの会社の部長さんから事業スタートの決裁を取れば終わりという仕事だったので、やはり自分のやりたいことじゃなかったなと。このまま続けていても、自分で会社をやるというところに近づけないと思いました。

【田原】その後は、青年海外協力隊に入る。どうしてですか?

【中西】じつは田原さんの番組を見たからなんです! 『朝まで生テレビ!』に堀江貴文さんや井戸実さんが出ていた回があって、井戸さんが「ベトナムの平均年齢は27歳と若い。発展のスピードが速く、チャンスがたくさんある」とおっしゃっていた。一方、私は東京のサラリーマン生活にワクワクを感じなくなっていました。ならば日本を離れて途上国に行ってみようと。