加齢が引き起こす体の不調。放置していれば、取り返しのつかない事態を招くこともある。「プレジデント」(2018年1月1日号)より、9つの部位別に、名医による万全の予防策を紹介しよう。第8回のテーマは「勃起不全」――。

生活習慣病と密接に関係している

年齢とともに勃起不全(ED、インポテンツ)の人が増加するのは統計上も明らかです。しかし、老化だけがEDの要因ではありません。

写真=iStock.com/Dmytro Aksonov

EDには器質性と心因性の2つがありますが、器質性の場合はほとんどが、神経や血管の異常でこのメカニズムがうまく機能しなくなった結果だといっていいでしょう。

たとえば、動脈硬化や高脂血症で血管が詰まるとペニスへの血流が阻害されるので、正常な勃起ができなくなります。ペニスの動脈は直径1~2ミリと非常に細いため、動脈硬化が進むと真っ先に詰まるのです。次はもっと太い心臓や脳の血管が詰まって、心筋梗塞脳卒中を起こす可能性もあるのです。

糖尿病も血管や神経に障害を与えるので、EDが起こりやすくなります。糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づいたときにはかなり進行してしまっていることも多い怖い病気です。

つまりEDは動脈硬化や糖尿病といった生活習慣病と密接に関係しています。日ごろから食べすぎ、飲みすぎを控え、適度に運動し、十分睡眠をとるという健康的な生活を送ることが、最も効果的なED予防なのです。

とくに、たばこは確実にEDのリスクファクターとなるので、吸わないほうがいいでしょう。たばこには末梢血管を収縮させ血流を悪くするニコチンや、海綿体やペニスの血管内皮障害を引き起こす有害物質が含まれています。さらに、たばこの煙には酸化ストレス(※)を高め老化を促進する活性酸素が多いことが知られています。実際、喫煙者は非喫煙者に比べてEDの発症率が高くなるという各種の調査結果も出ています。

(※)酸化反応により引き起こされる有害な作用。