[3] 質的フィードバックを削りすぎない
フォードのフランスのカスタマー・サービス部門を率いているローラン・シャルパンティエは、同社の360度調査で数量的フィードバックに対する質的フィードバックの比率が上がったことを、マネジャーたちは歓迎していると語る。マネジャーたちは、以前の360度調査で使われていた数量的要素だけの評価基準を「人間味がなさすぎる」と感じていた。質的な要素が加わったことで、フィードバックが「はるかに効果的に」なったと感じているという。
[4] 360度評価の目的と構成を明確に
360度フィードバック法の目的を評価対象者に伝え、明確な構成に従ってこのツールを使用することで、ツールの有効性を高めることができる。たとえばシャルパンティエの部門では、360度評価の対象になる誰もが、まずこの評価の目的について説明を受ける。向上が必要な分野を突き止めるためであって報酬の額を決めるためではない、と説明されるわけだ。
[5] 信頼と率直さの文化を築く
360度評価の成功は信頼と率直さという土台があるか否かにかかっていると、多くの企業幹部が指摘する。たとえば、フォード・ヨーロッパでは、360度評価の対象者は評価する人間を自分で指名することができる。評価対象者が自分に有利なように「不正工作」を企てるのを防ぐために、その人物の上司は、指名されたすべての人間について調査したうえで、承認しなければならない。それに加えて、フォードはそれぞれの評価対象者について、1~2人の上司、3~6人の同僚、3~8人の部下という多数の回答者を要求する。評価者のほうは、自分の名前を評価対象者に伏せておくかどうかを自分で決めることができる。
(翻訳=ディプロマット)