[1] 評価の基準を明確にする

パフォーマンス評価に広く用いられている点数評価は無意味な情報しかもたらさない。「コミュニケーション能力」「誠実さ」といった数量化しにくいマネジメント能力の評価に点数評価が用いられる場合は、とくにそうだ。しかし、フェデックス・エクスプレスの人的資源・業務サポート部門の責任者、ボブ・スパーロフは、数量化できる基準をつくることは可能だと言う。

フェデックスでは現在、マネジャーのパフォーマンスに関するフィードバックを、本人の上司、直属の部下、同僚から、同社が開発した別々の方法で収集している。すべてのデータがまとめられて、報酬に反映される。

驚くにはあたらないが、同僚のフィードバックの部分が最も厄介な問題になっている。同僚は互いについて必ずしも率直な評価は記さないからだ。スパーロフによると、フィードバックと実際のパフォーマンスの間に明らかに隔たりがある。

この問題に対処するために、スパーロフのグループは、従来の360度評価の同僚からのフィードバックの部分を変更することにしている。具体的には、数量化しにくい基準で評価するのではなく、当事者間で取り決めた測定可能な社内の顧客・サプライヤー契約をどの程度満たしたかによって、同僚マネジャーを評価するのである。

この簡素化されたアプローチによって、企業は現在の評価制度に内在する政治的操作の余地や否定的なフィードバックをすることへのためらいを回避できる。

[2] ツールをカスタマイズし、拡大する

フェデックスの場合、会社は「ワンサイズでみんなにピッタリ」式のパフォーマンス基準をマネジャーに押しつけはしない。社内における顧客・サプライヤーのペアが(サービス提供契約というかたちで)基準を決め、それに照らしてパフォーマンスを測定する。社内で卓越するために自分の能力にとって最も重要であると自ら判断した目標に基づいて、同僚が互いにパフォーマンスを評価するわけだ。