過去には95歳まで働いていた社員がいた

前川製作所(東京都江東区)の取り組みは、高齢化社会の中で成長を続ける企業として、非常に参考になります。同社はもともと、冷蔵製氷業から始まっていますが、現在では冷凍、化学、食品、ロボット、環境、超電導、バイオなど多方面の事業を、海外20カ国にも展開するグローバル企業。顧問の前川正雄さんは著書で「若手だけでは新しい商品はできない」と述べています。

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同社は、制度上は定年制がありますが、能力と本人の意思、会社側のニーズが合えば、何歳まででも働くことができます。現在、国内だけで2546人の社員がいますが、制度上の定年である60歳を超えている人が233人います。制度上の定年を越えた人のほぼすべてが、働き続けることを選択するそうです。現在の最高齢は78歳、製造部門で圧縮機の新規開発・改良業務に従事、過去には技術開発部門で、技術顧問として各種技術研究を行い、95歳まで働いていた社員がいたそうです。

前川さんは、「高齢者がいないと21世紀型のハイテク産業は完成しない」と言っています。今の現役世代は非常に忙しく、目の前の目標を達成するだけで手いっぱい。長期的な視野を持ち、若手を育成することにまで、手が回りません。そこを高齢者がカバーするわけです。リーダーとして引っ張るのではなく、若手をサポートし、行き詰まったときに知恵を出す。同社のベテラン社員たちは、そうした役割を担っているそうです。会社にとっても、若手にとっても、当の高齢者にとってもメリットの大きい仕組みです。

「多世代の対話」から新しいものが生まれる

高齢者の力を社会で活かすための方法には、いろいろな形があるはずです。前川製作所のように、自社で育った人を自社で活かし続けるといったやり方もありますが、すべての企業でうまくいくわけではありません。

私が会長を務めている「プラチナ構想ネットワーク」では、すべての世代が参加でき、エコで快適な社会を「プラチナ社会」と名付けて活動しています。そこでは、高齢者が蓄積した経験やノウハウを活かすための「プラチナマイスター事業」を行っています。社会に還元できる、価値ある経験や知識を持つ高齢者を「プラチナマイスター」として認証し、ニーズに合った組織やプロジェクトに派遣するというものです。