「安く働いてくれる家政婦さん」扱いする人々

東京・世田谷区のウェブページには、生活援助でできないサービスが細かく記されています。

●利用者以外のための洗濯、調理、買物、布団干し来客の応接(お茶、食事の手配等)
●主として利用者が使用する居室等以外の掃除
●単なる見守り(留守番)や話のみの相手
●草むしり・花木の水やり、植木の剪定等の園芸
●犬の散歩などペットの世話
●家具・電気器具等の移動、修繕、模様替え
●大掃除、窓のガラス磨き、床のワックスがけ
●室内外家屋の修理、ペンキ塗り
●正月、節句等のために日常より特別な手間をかけて行う調理など

▼自分でできるのにラクをしたいからヘルパーを使う

前出Iさんによれば「自分でできるのに、ラクをしたいからヘルパーを使おうという人がいる。安く働いてくれる家政婦さんだと思っているんです」とのこと。そういうことを許していては、ただでさえ厳しい社会福祉財源がさらにひっ迫することは目に見えています。生活援助の“拡大解釈”を防ぐためには、厳しいと感じるくらいの明確な線引きをするのも仕方がないのかもしれません。

*写真はイメージです(写真=iStock.com/Saklakova)

介護保険でのサービスを受けることは難しくても、自費を投じれば望みはかないます。家政婦さんに依頼すれば、窓もふいてくれますし、酒やタバコも買ってきてくれる。庭の手入れは植木屋さん、換気扇の掃除は専門の業者、手すりもリフォーム会社に頼めばつけてもらえます。ただ、すべてを自費で賄っていたら年金では足りなくなりますし、貯金も減っていくでしょう。

厚生労働省は生活援助サービスに対して、さらに厳しい方向への見直しを図るといわれています。要介護になったら、元気だった頃は当たり前だった趣味も嗜好品も快適な生活も、かなり制限されることは覚悟したほうがよさそうです。

(写真=iStock.com)
【関連記事】
老親に介護を頼まれた娘がキレる瞬間
なぜヘルパーは"介護食"しか作れないのか
老父と女性ケアマネの間の「トラブル」
介護業界「足りないのは『管理職』」
“3Kで薄給”介護職が献身したくなる人