利己的、倫理観が希薄、目的のためには手段を選ばない……。そんな性向の持ち主であるサイコパスは、必ずしも塀の中にいるわけではない。実は世の中に少なからず潜んでいる彼らを、どう見抜き、どう扱えばいいのか?
悪意と欲望まみれの超利己的人間がいる
一見普通なのに、つきあいが長くなるにつれ、何かの拍子に意外な一面を見せる人たちがいる。
「この人、もしかしてウソをついている?」「いつも笑顔で愛想がいいのに、意外とエゴイストなんだ」
こんなふうに思ったら、その人はサイコパスかもしれない。
「サイコパスとは、近年は反社会性人格障害と呼ばれる、人格障害の1種。他人の権利を無視し、侵害するのが大きな特徴です」
と説明するのは矢幡心理カウンセリング研究所所長の矢幡洋氏である。ほかにも「非常に利己的で他人の痛みを意に介さない」「道徳心や倫理観が希薄で、ウソをつくのも平気」「目的のためには手段を選ばない」などの特徴がある。しかし、サイコパス=犯罪者ではないという。
「サイコパスというと、“猟奇的殺人や残忍な行為を好む人”というイメージがあるかもしれません。しかしそういう犯罪を実行に移すのは単純粗暴犯にすぎない。彼らを裏で操って、自分は足がつかないようにうまく立ち回るのがサイコパスだと思ってください。彼らが主に棲息しているのは刑務所の塀の中ではなく、一般の社会なのです」(矢幡氏)
男性の3%、女性の1%がサイコパスに該当する、というアメリカの研究もある。日本の総人口で単純計算すれば、男性は約185万人。女性は約65万人。決して少ない数字ではない。