サイコパスから学ぶ非常識の強さ

このようなサイコパスの要素を多少なりとも持ち合わせた人が周囲にいた場合は、関わり合いにならないように逃げるのが王道である。しかし矢幡氏は、「特徴を理解したうえで、割り切った利害同盟を組むのも選択肢としてはあります」と言う。

たとえば自分が成功することで世の中に対する復讐心を晴らそうとしているタイプであれば、彼らと手を組むことでこちらもメリットを得られる可能性はある。

「もし部下にいたら、突撃部隊として利用するといいでしょう。たとえば誰かが強く発言しないと、敵対する派閥に負けてしまうような場合、核弾頭として送り込むといい。彼らは怖いもの知らずで攻撃力優位。いまどき他人と正面切ってケンカできる人は貴重ですよ」(同)

もちろん飼い犬に手を噛まれないよう、細心の注意が必要だ。

さらに矢幡氏は、サイコパスにも見習うべき点はあるという。

「サイコパスは世の中のルールを軽視しているし、嫌われても平気。どんな手段をとってでも、自己の利益を最優先します。つまり平時は困った人たちなのですが、これが戦時など非常時においては、何がなんでも生き延びるたくましさとなる。ビジネスの世界もある意味戦争ですから、彼らの力が生かせる場面も多いのではないでしょうか」(同)

実際、これまでにない販売方法を編み出したり、イノベーティブな製品を開発したりして、「常識破りの革命児」と呼ばれるような人には、サイコパス的要素を持った人も多い。彼らの「秩序破壊者」としての力が、閉塞した状況を打破する方向に作用することもある。

ウソをつく、法を破るといった点は真似すべきではないが、他人をあてにせず自分の腕一本で勝負し、「嫌われる勇気」を持つ彼らからは、学ぶべき点もあるのかもしれない。