法制化で総人件費は6割が上昇すると回答

また、「人事政策や賃金制度は、各企業が考えるテーマであり、政治や法律が決めるべきではない」といった法制化することへの反対意見。これは、女性活躍推進や残業時間規制など、働き方改革全般に対しても同様のことが言えます。企業の自主性に任せ、それでダメな会社は採用難などで淘汰されていく、といった考え方になるでしょうか。企業人としてはごく自然な発想ですが、各企業に任せていたのでは、全体の変化スピードが遅くなることも事実です。

そして、「同一労働という定義や区分が難しく、正社員の中でも実現していないのに、実際に進めるのは難しい」という実務上の困難さ。

あるいは、「非正規社員の賃金水準を、正社員に近づけるための人件費増を吸収できない」など、無い袖は振れないといった意見です。この調査の別設問「法制化された場合、あなたの会社の総額人件費にはどのような影響が予測されますか?」でも、非正規社員の待遇改善などにより、約6割が上昇するという回答となっています。

私も人事コンサルタントですので、法制化が実現した場合、支援先企業に対して「人件費対策」と「職務定義や賃金制度」をどうアドバイスすべきか、に頭を悩ませそうです。業界や個別企業によって、さまざまな対応方法が考えられるからです。

やはり、単に「非正規社員の待遇を正社員に近づける」というのでは、人件費が上昇するだけで、本質的な問題の解決にはなりません。企業の生産性を高め、より公正な社会を実現するためには、正社員の(職種、勤務地、労働時間など)非限定な働き方や年功賃金にも、メスを入れざるを得ないでしょう。雇用形態や労働時間ではなく、成果や生産性を重視した評価や報酬の仕組みづくりが求められます。

▼編集部おすすめの関連記事
もしイオンが「同一労働同一賃金」にしたらどうなる?
(写真=iStock.com)