「過去、最悪だと思った会議」についても尋ねてみました(図1、3)。「上司だけがしゃべり、あとの人間は拝聴しているだけ」「何が結論かわからないまま、終わった」「どうでもよいようなことばかり議論していた」がワースト3ですが、役職別に見ると、「上司がしゃべりすぎ」を気にしているのは部長クラス以上に多くなっています。この場合の「上司」とは経営トップ(社長)でしょう。つまり、経営トップは会議での発言は手短に済ませ、独演会にならないよう気をつけなければならないのです。
一方、「結論なし会議」を嫌うのが課長クラスおよび係長・主任クラスです。会議で決まったことを実務に落とし込まなければならない人たちですから、そう強く感じるのです。一般社員クラスは「どうでもいい議論」に最もイライラ感を募らせています。若くて経験不足という面もありますから、「本質的なこと」が「どうでもいいこと」に聞こえている可能性もありますが、実際に「どうでもいいこと」が話し合われているケースも多いのです。
例えば、決起大会を議題にした会議をするときに、どこのホテルにするかで、長い時間議論したりする。あのホテルはサービスがダメ、食事がまずい、など本質とは関係ないところで議論が行われたりします。あるいは、事業部間の面子争いで会議が紛糾することもあります。同じ顧客をめぐって、どちらが先にコンタクトを取るか、で延々と議論を重ねたりするのです。このような会議は、若い一般社員には「どうでもいいこと」で時間を浪費しているように見えるのです。
ただ、隠さなければならない事柄のため、一般社員が議論に加われないこともあります。合併を控えた会社の会議では、資本構成の話が盛んに出たりして、事情を知らない一般社員には無駄な議論をしているように見えるはずです。
いずれにせよ、会議のファシリテーターは会議の趣旨や内容を、若い参加者には特に徹底させる必要があります。
以上の結果が端的に表していますが、役職の違いによって会議に求めることが違うことをよく頭に入れてください。会議とは役職に応じた発言をする場ですから当然ですが、会議の改善が往々にしてうまく進まないのはその違いをよく認識していないからなのです。上司にとってのよい会議(自分の思いの丈を出せた)が、部下にとっては悪い会議(聞くだけで退屈)になりうるということを、上の人ほど肝に銘じるべきです。