「究明の手綱を緩めるな」

他紙の社説は財務省や財務官僚の責任をどう捉え、なにを主張しているだろうか。

12月1日付の東京新聞の社説はそのリードで「衆参両院の予算委員会が終わった。森友・加計両学園の問題も追及されたが、解明に至ったとは言い難い。政治や行政への信頼にかかわる重要問題だ。国会の場で究明の手綱を緩めてはならない」と訴える。

見出しも「究明の手綱を緩めるな」だ。

東京社説は中盤で「委員会では契約直前の二〇一六年五月、財務省近畿財務局と学園の籠池泰典理事長(当時)が協議した際の音声データの一部も紹介され、同省は事実と認めた」と説明し、次のように指摘する。

「籠池氏が『ゼロ円に近い形で払い下げてほしい』と求め、財務局側が『ゼロに近い金額までできるだけ努力する作業をやっている』と応じた、との内容。価格の下限をめぐる交渉にほかならない」

「文書破棄の背景に、隠蔽の狙いはなかったのか」

そのうえでズバリ批判する。

「にもかかわらず、財務省の太田充理財局長は、金額についてのやりとりはあったが、売却予定価格についての交渉はなかった、と釈明した。いかにも苦しい答弁だ」

前述した産経社説ほどではないが、財務省答弁のおかしさがにじみ出ている。

さらに東京社説は「異例ずくめである。不適切と指摘された国有地売却がなぜ行われたのか。財務省が学園との交渉記録などの文書を破棄した背景に、隠蔽の狙いはなかったのか」と疑いの目を鋭く向け、「学園小学校の名誉校長を務めた安倍昭恵首相夫人や佐川宣寿前理財局長の国会への招致や委員会での集中審議など、国政調査権を駆使したさらなる究明が必要だ」と訴える。

その通りである。いまこそ、国会が自らの機能を果たすときだ。

朝日は「詭弁」と財務省を批判

次に12月1日付の朝日新聞の社説を見てよう。

「森友問題審議」とのテーマに「無責任すぎる政府答弁」という見出しを付け、「幕引きなどとんでもない。疑問はますます膨らむばかりだ」と書き出す。森友学園の疑惑追及に力を入れている朝日らしい。

朝日社説は「財務省はこんな理屈を持ち出した。『金額』については話したが、『価格』は交渉していない。『口裏合わせ』ではなく、ごみの量を見積もる『資料提出のお願い』をした――」と書き、「うなずく人がどれほどいようか。説得力を欠く詭弁である」と厳しく指摘する。

さらに安倍首相に批判の矛先を向ける。

「安倍首相はこう語った。『財務省から適切に処理したとの答弁があり、そう報告を受けていた。私の答弁は、そのような理解の上で申し上げた』」
「責任は財務官僚にあり、自分は報告を信じただけ。そう言いたいのだろうか。だとすれば、行政府トップとして無責任な発言というほかない」

安倍首相が嫌いな朝日らしさが出ている書きぶりである。