フリーランスなら、デザイナー兼プログラマー、営業兼イラストレーター、他にも飲食店経営兼ライターなど、多彩に働き方をデザインすることが可能だ。そして、パラレルワーカーとは、シンプルに言うと、複数の仕事を同時に行いながら、収入源も複数持つ働き方のことをいう。
一方で、組織人に比べ顧客との出会いや、チームを組んで働くこと、資金調達の面などで難しいことも多い。彼ら、彼女らの行っている仕事を消費者に伝えたり、つなげたり、支援をすることが、エンファクトリーの事業だということだ。
事業としても「複業家」支援を行う
つまり、同社は、自社で「専業禁止」を施策しているだけではなく、事業として「複業家」の支援を打ち出しているのだ。すでにしばしば登場した、この「複業」という言葉については、後ほど説明したい。
エンファクトリーは、さらにこのミッションの実現に向けて「チームランサー」というコンセプトを事業化した。チームランサーとは、フリーランス、パラレルワーカーなど、規模は小さいが質が高く優良なビジネスを行う「スモールビジネス」を営む人材が、互いの能力を補完する最適なチームを組み、チームとして生産性を高め、活躍できる環境を提供するサービスである。
このように、時代の変化をいち早くとらえて「専業禁止」を謳い、新たなサービスを次々と打ちだす同社だが、果たしてその内実はどうなのか。
専業禁止の仕掛け人・社長の加藤健太氏に、直接話を聞いた。
副業は手段であり、目的ではない
――「専業禁止」とは、面白い考え方ですね。
【加藤】たしかに、「専業禁止」を打ち出す企業はエンファクトリーの他に知りません。昨今は「働き方改革」が叫ばれていますから、取材も多いんですよ。ついこの間も、テレビ局が取材に来ました。またパナソニックをはじめとした大企業や、官公庁からも、当社の「働き方」や「人事制度」について話を聞きたいと担当者がやってくるんです。しかし、実際に話してみると、あまりにもわれわれとは認識がかけ離れていると感じることが多いんですよね。
――「認識がかけ離れている」とは、どういうことですか?
【加藤】エンファクトリーでは、社として「専業禁止」を打ち出すとともに、副業という働き方を社会に広めていきたいと考えています。これは、時代の必然だと思うんですよね。