先日公開した「『副業』をバカにする社員がむかえる末路」には、多くの反響が寄せられた。「副業推奨は時代の流れ」という声があった一方、「一部の人だけの話」「実感がない」という声もあった。そんな中、企業理念として「専業禁止」をうたう企業から「現場を見てほしい」という連絡が届いた。「専業禁止」とはどのような働き方なのか――。
最初は社員も戸惑った
東京、代官山。エンファクトリー社は、東急東横線の駅からほど近くにある。従業員数30名、2011年に総合生活情報サイト・オールアバウトから分社化したまだ若い会社だ。EC・WEB受託開発を主な事業として展開している。
エンファクトリーのユニークな点は、2011年の分社化当時から「専業禁止」をうたっていることだ。一見すると、かなりインパクトのあるワードだが、エンファクトリーでサービスマネジャー兼チーフデザイナーを務める藤生朋子氏は「当初は社員たちにも戸惑いがあった」と振り返る。
「社として専業禁止を打ち出した当時、それをポジティブに受け止める社員とネガティブにとらえる社員、その割合はまあ半々でしたね」
「専業禁止」は、イマドキの企業で働く社員から見ても、目新しい取り組みだったようだ。
「ローカルプレナー」という働き方
エンファクトリーは、ウェブサイトの受託開発以外にも、さまざまな事業を行っている。そのひとつが「複業家」の支援だ。エンファクトリーの「事業概要」には、以下のように記されている。
これからの時代のローカルプレナー(専門家、フリーランス、つくり手、パラレルワーカーなど)に、対顧客向けのブランディングや広報、提携企業とのマッチングやネットを使った商品やサービスの取引など、様々なマーケティングサービスを中心に展開しています。
少し説明が必要だろう。ローカルプレナーとは、「ローカル」(地域)と「アントレプレナー」(起業家)を組み合わせた、エンファクトリーが生み出した造語。つまり、人と人がじかにつながる規模で働く、経営意識を持った個人、と考えることができる。その担い手として想定されるのが、専門家、フリーランス、パラレルワーカーというわけだ。
フリーランスと言えば、ライターやデザイナー、プログラマー、士業などの「専門的な自営業」または「クリエイター」というイメージが強い。しかし、現在では営業や保守・管理など、フリーランスという働き方はさまざまな職種に広がっている。