現在、「副業推奨」がブームになっている。そういわれて、冷ややかな態度をとる人は要注意だ。これから大企業でも「副業ができるかどうか」で人材のふるい落としを行うようになる。ソトで通用しない人材が、ウチで成り立つわけがない。いますぐ「変化」への対応をはじめるべきだ――。

大企業が「副業奨励」に舵を切る背景

会社が社員の副業を認める「副業解禁」のニュースが世間をにぎわせている。だが「どうせ広がるはずがない」と考える読者もいるだろう。その認識はもっともだ。リクルートキャリアの「兼業・副業に対する企業の意識調査」(2017年)によれば、兼業・副業を容認しているという回答は22.6%、推進しているという回答は0.3%だった。副業を認めている企業は、まだ少数派にすぎない。

しかし、今後、兼業・副業を容認、さらには奨励する企業は増加していくはずだ。すでにベンチャー企業ではそうした動きが起こりつつある。EC事業を営むエンファクトリーは、「専業禁止」を宣言しており、社員の半数が「復業」に取り組んでいる。狙いは「人材の自立と育成」だという。ベンチャー企業はそもそも人材が流動的であり、待遇も一部の例外を除けば大手に劣るところが多い。「囲い込み」が難しいからこそ、副業も推奨したいという面がある。

副業を推奨したいのは、いわゆる「大企業」も同じだ。たしかに大企業では、まだまだイチ企業に尽くしてくれる人材を求めているのが現状で、それが前出の調査にも現れている。だが、これから大企業にも「雇用の流動化」という波がやってくる。タレント人材の発掘、「他社でも通用する人材」を確保することは、あらゆる企業で共通する課題になるだろう。そうなれば「副業を容認したほうがいい」という考え方に、企業全体が必然的に変わらざるを得ない。

タレントはどのように開発されるか

ここで、「優秀な人材」と副業の推奨、その関係性について立ち止まって考えてみたい。

企業は、社員のために副業を推奨している訳ではない。企業はあくまで「優秀な人材」にとって望ましい、もっというと望ましいと思われる働き方を模索して、実現しようとしているにすぎない。