「過剰適応」型組織の限界

今となっては、どんな企業(村)もイチ個人の生涯にわたる安定的なキャリアを保証してくれはしないのに、だ。そしてその過剰な適応が、過剰な労働を生み、最悪の事態としての過労自殺を招く――。日本の労働状況は、そんな事態に陥っている。

結論として、企業(村)という構造から社員個人が解き放たれなければ、副業社会への転換を企業が表向きいくら「推奨」したところで、その実現は難しい。それでも、ただ時は無情に過ぎていく。日本企業が拭いきれない過去の呪縛に絡めとられたまま、世界の潮流やイノベーションから取り残されていく。副業という働き方が、企業と社員双方にとっての最適解か、それは分からない。ただ、「過剰適応」型の働き方とその悲劇が、もはやどの業界でも通用しないのは確かなのである。

新井健一(あらい・けんいち)
1972年生まれ。経営コンサルタント、株式会社アジア・ひと・しくみ研究所代表取締役。早稲田大学卒業後、大手重機械メーカー、アーサーアンダーセン/朝日監査法人(現KPMG/あずさ監査法人)、同ビジネススクール責任者、医療・IT系ベンチャー企業役員を経て独立。大企業向けの経営人事コンサルティングから起業支援までコンサルティング・セミナーを展開。著書に、『いらない課長、すごい課長』『いらない部下、かわいい部下』『すごい上司』『儲けの極意はすべて「質屋」に詰まっている』など。
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