「敵基地攻撃能力」は必要か?
読んでいて納得できない。「北朝鮮に対する外交が失敗したら」とか「事が始まってからでは遅い」と読者に脅しをかけ、最近の産経社説が主張するお得意の「敵基地攻撃能力」を持ち出す。
簡単にいえば、核・ミサイル開発を止めない北挑戦に対し、軍事的圧力をかけ、有事の際には攻撃しようというのである。
「目に目を」では事態を悪化させるだけである。そのことを産経の論説委員たちはどう考えているのか。論説委員の中には穏健派もいるはずだ。バランスのとれた格調の高い論を展開してほしい。
一触即発の危機があるなか、軍事的整備を新聞の社説で訴えるのは間違いだ。
鍵握るトランプ氏の本音を聞きたい
北朝鮮の問題に対する安倍首相の所信表明演説は具体的な政策が欠けているから、産経のような過激な社説が出てくるのだろう。
毎日社説は北朝鮮問題についてこう指摘する。
「首相は地域情勢について『戦後、最も厳しい』との認識を示し、北朝鮮に政策変更を迫る国際圧力を一層強化するとした。トランプ米大統領の来日で確認した強固な日米同盟のもとで『具体的行動を取っていく』と軍事的圧力もにおわせた」
そのうえで「では、圧力強化の先にどのような解決の道筋を描くのか。そこが見えてこないことに国民の不安も募る」と訴える。
まさにその通りである。
北朝鮮問題を解決する鍵を握るトランプ大統領と安倍首相は親密な関係にある。「ドナルド・シンゾウ」ラインもすっかり出来上がっている。
わずかでいい。外交秘密とはいえ、トランプ氏の本音を国民に分りやすく伝えてほしい。