どうやって社員が「渋谷」を巻き込んだのか

DeNAの健康経営は、平井の個人的な思いにはじまり、セミナーや腰痛撲滅プロジェクトなどの広がりを見せながら、やがて新入社員研修の中に健康研修が入るまで定着。17年2月には経済産業省が健康経営を実践している優良企業を認定する「健康経営優良法人(ホワイト500)」に選ばれた。

経済産業省経済産業政策局産業人材政策室室長補佐●藤岡雅美さん

さらに平井はDeNAで健康経営を進めるのと並行し、渋谷の企業・団体を巻き込んで渋谷の街から健康を発信する取り組みをはじめていた。きっかけは経産省の藤岡雅美との出会いだ。平井は健康経営のことを調べる過程で藤岡の存在を知り、15年12月に会うことになる。藤岡は10年に入省し、ヘルスケア産業課に配属、健康経営の立ち上げから携わってきた人物だ。

「平井さんと『健康経営いいですよ。やりましょう』と意気投合し、私から『1社で進めてもいいけど、コミュニティをつくって大きく展開したらどうですか。健康経営を文化にすることが必要です。私もお手伝いします』と提案しました」(藤岡)

藤岡の提案を受け、平井は一企業の枠を飛び越えたビジョンを強める。

「健康経営を推進する会社が増えれば増えるほどうねりは大きくなる。渋谷のIT企業はSNSなどを駆使した発信力もあるのでコミュニティをつくる意義があると思いました」