お嬢様学校「聖心」は“お買い得”だった

不二聖心女子学院(以下、不二聖心)は周囲を山々に囲まれている。眼前には学校所有の茶畑が広がり、大自然の中に風格の漂う学び舎が立ち並んでいる。その敷地面積は約21万坪。東京ドーム約15個分に相当する広さがあるという。

不二聖心は、東京にある「聖心女子学院」の姉妹校。聖心女子学院といえば、良家の子女が通うカトリックのお嬢様学校として有名だ。皇后美智子様が中学から大学まで通われた学校としてもよく知られている。

学校が所有する茶畑「不二農園」とチャペル

この不二聖心の「入り口」は意外に高くない。首都圏模試センターの「2018年中学入試予想偏差値(合格率80%)」によると、偏差値は45となっている。

一方、大学合格実績はその入り口から考えると目を見張るものがある。系列の聖心女子大学には全校生徒の48%が進学しているだけでなく、12%は指定校推薦の充実している上智大学に進学している。その他の進学先を見ると、医療系学部に進む子もかなり多い。また現役進学率は97%と高い。いわゆる難関校ではないものの、大学進学実績は極めて高い「お買い得」な学校と言えるだろう。

学年定員は70名と少人数制の学校だが、近年は 首都圏からの受験者が増えているという。今春、東京の入試会場には132名の受験生が集まった。2年前の受験生が89名、昨年は129名だったことを考えると、少子化の影響で大苦戦している「中堅女子校」の中ではかなり健闘している。

▼約4割の生徒が送る「週末帰宅型」の寄宿生活の花園

聖心女子学院の創立者である修道女のマグダレナ・ソフィア・バラは「聖心はひとつの大きな家庭です」ということばを残している。不二聖心が「寄宿舎生活」を取り入れているのは、このことばを実践するための試みのひとつだという。

先述したように、不二聖心は「週末帰宅型」の寮制を導入している。つまり、平日は学校の寄宿舎で共同生活を送り、土日は自宅に帰ってすごすのである。そのため、寄宿生の条件として「自宅から通学4時間以内」とされている(保証人制度により4時間を超える地域からの入学が認められるケースもある)。全校生徒の約4割が寄宿生で、年々その割合は高くなっているという(実際、中1生はその半数以上が寄宿生だった)。

なぜ不二聖心は「週末帰宅型」なのか。その理由を5点にまとめて説明したい。