なぜ偏差値45のふつうの子が有名大学へ進学するか?

▼寄宿舎のメリット1「親子関係が劇的に改善」

「寄宿舎生活をはじめたら、なんだか父がこれまでとは違い優しくなりました」

そう笑うのは、東京都品川区に自宅がある中学3年生。そばでそのことばにうなずいていた神奈川県平塚市に自宅がある中学2年生はこう言い添える。

「いままでは家族って当たり前の存在でしたが、寄宿舎生活をはじめてそのありがたみを改めて知りました。だから、土日の親子の会話は本当に多くなりましたし、かえっていままでより家族と仲良くなりました」

また、別の生徒は、寄宿舎生活を送るようになってからは、土日に家族で出かける機会が格段に増えたという。愛知県豊橋市に自宅のある高校2年生は過去を振り返って話してくれた。

「そういえば、小学校のときはことあるごとに母親に反抗していたのですが、寄宿舎生活を始めてからは、そんなことがなくなりましたね」

ちょっと距離を置いたからこそ、子は親のありがたみが、親は子の大切さが、改めて身に染みて感じられるようになるのだろう。生徒指導主事を務める野村春美先生は言う。

「たとえば、週末に親子げんかをしてその関係がこじれそうになったとしても、平日に寄宿舎生活があれば『冷却期間』をつくれます。寄宿舎でも携帯電話を禁じていますから、気軽に連絡をとることはできません。その分、いろいろと考えられる時間が生まれます。たとえば、『なんであんなことを言ってしまったのだろう』と反省することもできる。結果として、親子関係がうまくいくケースがよくあります」

▼寄宿舎のメリット2「他者に依存しないたくましさが身に付く」

「そういえば、いまは学校から親に電話することなんてなくなりましたね」

東京都世田谷区に自宅がある中学3年生はそうほほ笑んだ。入学当初は毎晩のように校内の公衆電話から家に電話をかけていた。が、半年ほどでホームシックの状態は嘘のように消えたという。

彼女はこう話す。「寄宿舎生活をはじめるまでは、なんでもかんでも親の言う通りに行動していたのですが、ここにきてからは一日の計画をすべて自分で考えて実行できるようになりました」。

また、山梨県河口湖町に自宅がある中学1年生はこう語る。

「わたしは早起きするのが苦手だったのですが、いまはそんなことはありません。寄宿舎に入ってからは規則正しい生活が送れています」

洗濯はランドリーコーナーにて全員自分でする

そういえば、寄宿舎の中には「ランドリーコーナー」や「スタディルーム」などが設けられている。彼女たちは親の力に頼ることなく、洗濯や掃除をはじめとした「家事」、そして学習面についても自らの手でマネジメントしていくのである。このマネジメントは「自立」と言い換えてもよいだろう。

野村先生は胸を張る。

「寄宿舎での生活は、『苦手だからやらない』というわけにはいきません。でも、やり続けていくうちに何とかできるようになりますよ」