従来の業種の垣根が消えた結果、現在、至るところで繰り広げられているのが「異種格闘技戦」ともいえる状況です。

以前は、製造業は製造業、小売業は小売業というように、同じ産業カテゴリーのライバルとだけ戦っていました。しかし、メーカーが自社商品を直販して、小売業が自社商品を開発する状況になり、いままで直接の競合ではなかった会社が同じリングの上で戦わざるを得なくなっています。

これからの企業に求められるのは「多機能化」です。

4つの機能をもたなければ勝ち残れない

メーカーも販売機能をもたなくてはいけないし、小売業も商品開発や生産の機能をもたなければ戦えません。さらに昔ならコンサルタントに頼っていたデータ分析機能や、産業基盤となるインフラも必要となります。

以上のことをまとめると、過去には「専門産業」「製造業」「卸・中間業」「小売・サービス業」「産業基盤分野」といった5つの産業の棲み分けがあり、企業からユーザーに商品が届くまでの工程を分業していた。ところが、産業構造が激変し、業界・産業の垣根が消えつつあるいま、企業には多機能化する必要が出てきているのです(図参照)。

産業構造の変革を意識することで、必要な「価値」が見えてくる