衆院解散表明にぶつけた電光石火の宣言
小池百合子都知事が一気に勝負に出た。9月25日、都庁で記者会見を開き、新党「希望の党」を結成するとともに自ら代表に就任することを発表した。安倍晋三首相の衆院解散表明にぶつけた電光石火の宣言だった。
民進党に見切りをつけた議員たちも、次々と小池新党に合流している。これで10月10日公示、22日投開票の衆院選挙が、一挙におもしろくなってきた。
果たして国政政党の党首と都知事を兼務するという小池氏の戦略は成功するのだろうか。自民党を敗北させた7月の都議選のように圧勝できるのか。新聞各紙の社説を読み解きながら「勝負師、小池百合子」の行方を考えてみたい。
「選挙の構図が一変した」
小池氏が新党結成を公表した翌9月26日付の全国紙の社説はどれも「安倍首相の解散表明」がテーマだった。しかも全紙とも大きな1本社説だった。
その翌日27日付の全国紙の社説で小池新党を取り上げたのは毎日新聞と産経新聞、それに読売新聞。この3紙のうち、最も読み応えがあったのは毎日の社説だった。
その毎日社説の見出しは「日本の岐路「希望の党」の登場」「小池流の鮮やかさと不安」である。冒頭、「選挙の構図が一変した」と書き出し、こう分析する。
「小池氏は若狭勝衆院議員や細野豪志元環境相らに国政は任せるように見せかけ、安倍晋三首相が衆院解散を決断するやいなや一転、自身がトップに立っての結党に踏み切った」
毎日社説は「見せかけ……」とまで書いている。そこから判断すると、毎日の政治社説を担当する論説委員は「小池氏は初めからトップに立つ気でいた」とみていたのだろう。
この沙鴎一歩もそうである。これまで小池氏は「都知事の仕事に専念する」と言い続けてきた。しかしそれは方便だった。小池氏に取材した経験から「彼女の本音は日本初の女性首相にある」とも沙鴎一歩は考えてきた。
さらに毎日社説はこうも分析する。
「首相が解散を表明したのと同じ日に緊急記者会見をぶつけ、現職知事が新党の代表に就くサプライズを演出してみせた。鮮やかな『劇場型』のメディア戦術だった」
「劇場型のメディア戦術」とはあの「小泉劇場」を思い出す。小池新党を強く支持する小泉純一郎元首相が入れ知恵しているのかもしれない。