産経は「民主的な党運営とは無縁のスタート」と批判
産経社説(9月27日付)は小池氏と新党の「希望の党」を激しく攻撃する。
「自分を当てにした新党の動きに、もどかしさを感じたのだろうか」と小池氏の心中を覗き込み、「驚いたのは、参加予定者である若狭勝衆院議員や細野豪志元環境相らが取り組んでいた綱領、政策などの作成作業をリセットし、希望の党の政策として自ら諸課題を並べたことだ」と書く。
そのうえで「政見を同じくする仲間を募り、理念や政策を積み上げる作業は一切、省略だ。民主的な党運営とは無縁のスタートといえる」とまで批判する。
「党の運営」まで一方的に批判する産経の論説委員は、どこまで小池氏にきちんと取材しているのだろうか。
さらに「政権の受け皿を狙う新党を率いる指導力を、際立たせてはいる。だが、結局は政策の中身より自らの人気や求心力で勝負する姿勢がはっきりしたのではないか」と書く。
産経社説が指摘するように新党だけにその政策の中身は重要である。ただ選挙戦を党首の人気や求心力で勝負してはいけない決まりなどどこにもないはずである。
「議員生き残りの『希望か』」と皮肉たっぷり
次のくだりもかなり攻撃的に感じられる。
「小池氏は『この選挙さえしのげればいい』という候補者を選別して排除する必要性を語ってはいる。だが、短期決戦でどれだけ理念や政策を共有できるだろう」
小池氏は短期戦だけを念頭に置いているわけではない。前述したように彼女の頭の中には「日本初の女性首相」がある。今回の衆院選はその目標を達成するための大きな一歩なのだ。産経社説はそこをどう理解しているのだろうか。
次の「新党作りに動いていた若狭、細野両氏の動きに鈍さはあったろう。それでも頭ごなしの結党を目の当たりにし、黙って参加する。それこそが、当選さえすればいい人たちの『希望』をかなえる党の姿を暗示していないか」も、新聞の社説としては少々下品な筆運びで驚愕させられる。見出しも皮肉を込めた「議員生き残りの『希望か』」で、これにも驚かされる。
ただ最後の「知事の座にとどまったまま国政政党の党首になるという。二足のわらじは、維新の会の松井一郎大阪府知事もそうだが、国会に議席を持たない制約は少なくないだろう」「東京五輪や豊洲問題など課題山積の都政との両立は容易でない。どうこなすつもりだろうか」は理解できないでもない。逆にこの辺りが小池氏の力の見せどころになる気がする。