「小池氏の勝負勘と度胸のなせるわざ」

この後、毎日社説は「小池氏の勝負勘と度胸のなせるわざだろう。それが衆院選への関心を高め、有権者に新たな選択肢の登場を印象づけたのは間違いない」と小池氏を評価する。

「勝負勘」と「度胸」。小池氏を褒める最高の言葉である。しかも「衆院選への関心」「新たな選択肢の登場」に結び付くとまで書いている。よほど今回の小池氏のやり方が気に入ったのだろう。

続けて「7月の東京都議選では、民進党が政権批判の受け皿になれず、小池氏の率いた地域政党『都民ファーストの会』が大勝した。衆院選でも、政権に不満だが行き場のなかった無党派層をひき付ける可能性がある」と小池新党勝利の可能性の高さまで予測する。

ただし「政策・理念は抽象的でわかりづらい」

毎日社説に説得力があるのは、ここから先の後半部分で小池新党の問題点を明確に突いているからだ。

「容認できないのは新党の政策・理念が不鮮明なことだ」と指摘し、「小池氏が示した政策の柱は『希望の政治』『希望の社会』『希望の経済』など抽象的だ。新党の理念に掲げた『改革保守』もわかりづらい」とまで書く。

さらに「具体策として挙げた『議員定数・議員報酬の縮減』は、過去にも多くの政党が『身を切る改革』として声高に叫んできた。財政再建や社会保障との関係を語らずに『消費増税凍結』を主張することと併せ、ポピュリズムのにおいがつきまとう」と批判する。

おもしろいのは次のくだりだ。

「選挙後の新党は野党なのか、与党入りを狙うのか。小池氏は新党の議員が首相指名で公明党の山口那津男代表に投票する可能性に言及した。都議会与党の公明党に配慮した発言のようだが、都政の都合で軽々に論じることではなかろう」

「都政の都合で軽々に論じることではなかろう」との批判は少々余計だが、選挙の勝敗を左右するのは昔から「公明票」、つまり固い支持基盤をもつ「創価学会票」なのである。小池氏も学会票を無視できないのだろう。