NHK会長の諮問機関が今年7月、番組のインターネット同時配信が行われた場合、ネットのみの利用者にも「受信料と同程度の負担を求めるのが妥当」とする答申を出した。答申では、すでにテレビでの受信契約がある世帯には追加負担を求めないとする一方、受信契約のない世帯はテレビをもっていなくても、スマートフォンなどネットにつながる端末があれば受信料の支払いを求めるべきとしている。
さらに今年9月、NHKは総務省に提出した資料で、「2020年の東京オリンピック・パラリンピックを常時同時配信により伝えることができるよう、2019年度にサービスを開始する」と、具体的な時期を示している。
NHKはどこに向かおうとしているのか。立教大学の服部孝章名誉教授に聞いた――。

ネットユーザーや民放各社は大反発

国民は望んでいるのか(NHK 放送センター、東京都渋谷区)。(東洋経済/AFLO=写真)

今までNHKの受信料は、テレビを持っている世帯が支払ってきた。ところが、テレビがなくても受信料の負担を求められる可能性が出てきた。

NHKは2019年から地上波・BS放送に加えて、インターネット上でも番組の同時配信を開始する。それに伴い、ネットだけの利用者からも受信料を徴収することを検討しているのだ。

当然、ネットユーザーや民放各社はこのネット受信料に大反発。メディア情報法を専門とする立教大学の服部孝章名誉教授も苦言を呈する。

「そもそも現状の受信料自体も、ちゃんと納得して支払っている国民は少ない。負担の公平性について根本から議論することをなおざりにしたまま、性急に導入するのは考えもの」