NYやLAなど全米に300以上もある
移民制限を掲げるトランプ大統領は就任間もない1月25日に「入国管理局への協力を拒否する都市には、連邦補助金の交付を停止する」という大統領令を発した。
入国管理局は米連邦政府の管理下にある機関で、各自治体に不法移民の取り締まりを依頼している。しかし「聖域都市」と呼ばれる自治体の大半は、入国管理局の依頼を拒否している。
聖域都市とは不法移民の居住を黙認する寛容的な政策をとっている自治体のことで、ニューヨークやロサンゼルスなど全米に300以上もある。聖域都市が不法移民を取り締まらない大きな理由は、警察の予算を割きたくないからだ。
トランプ政権は不法移民を「ならず者」というイメージで見ているが、実際には不法移民が犯罪を犯すと即座に強制送還されるため、何もしない人が大半である。
成蹊大学法学部の西山隆行教授は「聖域都市は不法移民コミュニティと良好な関係をつくり、犯罪者情報のタレコミをもらうほうが治安維持に効果的だと考えている」と話す。
また不法移民は生活保護を受けとれないため、自治体の負担にはなっていない。むしろ強制送還を行うほうが負担が大きくなるので、不法移民に見て見ぬふりをしているのだ。西山教授は「補助金を取り上げるという発言は実質的な効果を持たないだろう」と見る。
(写真=AFLO)