実物を見せるのが最も効果的

もし、自分がつくったもので見せられるものがあれば、それを実際に見せるのが売り込みとしてはいちばんです。なにも言わずにいきなりGoogle Earthを起動して、今いる場所や会場を上空から映します。そこから移動していって、ある建物をズームアップします。見るからにデザイン性抜群です。「これが20年前、私が最初に手掛けた作品です」建築家や住宅メーカー社員だったら、こんな入り方もあるかもしれません。消費財の商品開発者なら、最新ヒット作のサンプルを全員に配るのです。触ってもらい、食べてもらって、そこから話に入ります。まずはその商品の開発苦労話を思い入れたっぷりに。そして、なぜその商品が最終的に失敗したかを分析していく……。どうでしょう?

『ゼロからのプレゼンテーション』三谷宏治著 プレジデント社

生産財やサービス型のものだと、なかなか実物を見せるのは難しいでしょう。それでも、その商品のイメージや素晴らしさをなんとか伝えようとしているのがテレビCMです。それをその場で流す手もあるでしょう。みんながすでによく知っているモノでは面白くないから、海外で流したものとか、ある期間だけ流したもの(オリンピック期間中だけとか)を見せるのです。そして、それについて語ります。

アクセンチュアはときどきテレビCM を流します。巨大なサメに追われ、逃げ惑っていた魚たちが連携し、隊形を整えて反撃する。そんなCM もありました。なぜ企業のみを顧客とするB2B企業がテレビCMを流すのでしょう? それは顧客企業のトップたちがやはり取引先のメジャー感を気にするからです。でも、サメ版のCMのときにはクライアントたちに言われました。「なんだかわれわれが食べられるほうでアクセンチュアがサメって感じだね」。アメリカでつくったものをそのまま流すとこんなことがあったりします。国によって文化は違うので、コンテンツのグローバル化は大変です。

聴衆参加型つかみで参加意識を高める

こういった自己紹介型とは別に、聴衆参加型の入り方でもあります。大体、午後のプレゼンテーションだと、聴衆も疲れています。午後イチだと、食後の眠気に襲われる人も多いでしょう。多人数であればあるほど、自分の参加意識は薄れ、ただ座っているだけの存在になっていきます。これをまず、打ち破ります。

そのためには参加者が体や頭を動かすことが必須です。ナゾナゾを出して挙手してもらうのもいいですし、隣同士で自己紹介させるのもいいでしょう。ただ、必ずオチがあること。挙手の結果がどうであっても、その後のプレゼンテーションにつながる、気づきがそこにあるネタを必死で考えましょう。

(漫画=フーモア)
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