「ハロー効果」が逆効果に?
聴衆がいっぱいで興味もバラバラ。かつ、そんなにつかみに時間をかけてはいられない。多くを相手に数分や数十秒で心をつかまなくてはならない。多人数相手のプレゼンテーションではそこが難しいのです。講演のように、相手がほとんど初対面の人であればなおさらです。初対面の人が相手であれば、まずは自分を売り込む必要がありますが、このときに、権威者(有名人や偉い人)を引き合いに出して、自分を権威付けようとする人が結構います。「ハロー(Halo)効果」というやつです。ハローは聖人の背後から差す後光のこと。人は顕著な特徴に引きずられて、他の特徴に関しての評価がゆがみます。
医者は医学・医療のプロであるというだけなのに、医者の発言はなんでも正しいと患者、家族は感じます。有名タレントの味の嗜好と自分のそれが同じであるかなんてわからないのに、宣伝しているコーヒーをおいしいんじゃないかと感じます。なので、プレゼンテーション内容に沿った適当な権威者を見つけて、
―発言や図を引用する
―監修を受ける
―お墨付きをもらう
といった方法があるでしょう。「先日、XX先生に呼ばれてお邪魔したら、△△の話が出ましてね」云々。自分の権威者に対する近さを印象づけ、かつ、その権威者のコメントとして話を導入するのです。私は絶対やりません(笑)。人まかせすぎますし、なにより(相対的に)自分を低めることにもなります。虎の威を借る狐、と見られるリスク大です。しかも、有名だと思って引き合いに出した権威者を、相手が知らなかったら悲しいですし、その権威者を嫌いだったりしたら最悪ですから。