シニア社員のやる気をどう引き出すか

2015年、東京電力は、60歳以降の雇用延長社員の処遇改善を打ち出しています。電力自由化や福島第一原発の廃炉作業に備えて、業務や技術に熟練した社員の定着や士気を高める狙いのようです。

65歳定年時代を見据えて、定年再雇用制度(=シニア社員制度)のあるべき姿を考えてみたいと思います。

シニア社員制度を再検討する際には、次の観点で考えるとよいでしょう。

(1)雇用形態、コース分け

65歳までの雇用が義務づけられると言っても、雇用形態について制約が設けられているわけではありません。実際、正社員の定年を延長する会社は少数派で、再雇用後には(嘱託)契約社員として雇用するケースが大半です。

雇用形態やコース分けで考えるべきは、社員ごとの意向や能力に加え、会社がコントロールできる柔軟な制度にしておくことです。社員ごとの意向とは、どのような勤務形態(出勤日・時間)で、どのような仕事をしたいか、といった希望条件。能力とは、定年前のポジションに対する能力ではなく、むしろ定年後の職務に対する能力や貢献度を示しています。一方、会社側のコントロールとは、経営環境や部門ごとの人員計画・年齢バランスなどに応じて調整しやすい仕組み、という意味です。

例えば、人材が不足しがちな中小企業の中には、優秀人材は60歳以上も管理職や高度技能職として活躍を期待する会社が多くあります。一方で、義務化前なら再雇用契約しなかったであろう、評価の低い人材が存在しているかもしれません。

そこで、対象者一律の再雇用制度ではなく、以下のようなコースを設け、社員ごとの能力や意欲に応じて、会社がコース選択できるようにすることをお勧めしています。